(何よその言い方は……フィースバークのやり方では無作法だといいたいのかしら?)

 ケイティはそれが少し気になって、リュミエールの隣に立って口を挟む。

「御嬢様は一通りの作法を身に着けていらっしゃいます。王太子の婚約者でいらしたこともあらせられる方なのですから。それでも不十分だと言われるのですか?」
「いいえ。ですが伝え聞いた所によりますと、これまでの茶会やいつぞやの王太子の生誕祭にて、リュミエール様は周りの貴族の方々とご歓談や踊りを披露される様子も無かったとのこと。公爵夫人にしろ、次期王妃にしろ、それではなかなか務まらないでしょう。今以上に多くの人の心をつかめるように、色々と学ぶべきことは多かろうと考えます」
「むっ……」

 現場で見ていたかのような言葉にケイティは悔しそうな顔をするが、リュミエールは元々そう思っていたし、彼女自身もそうしてくれた方が安心だ。

「わかったわ、パメラ。私、レクシオール様の足を引っ張りたくないの。是非色々と、教えていただけるかしら」
「良いお心がけにございます。では私もお手伝いいたしますので、お着換えを済まして広間の方へと移動することにいたしましょう。……お洋服はこちらに色々とご用意しておりますので」