そこはちょっとした森を抜けた先にある、特殊な学園。

背の高い城壁が続いて、学園全体を守るように囲っていた。

ようやく城壁が途切れて、鉄製の門が現れた。

取り付けられた監視カメラがこちらを捉えると、門は左右に開かれ、車に乗った私たちを招き入れる。

けれどすぐに建物に入るための扉には着かず、広大な庭に車が通れるだけの道が造られていて、そこをゆっくりと走る。

そしていざ車が到着して止まると、自分の目を疑わずにはいられなかった。

「ここが学校…?」

開いた口が塞がらないとは、まさにこのことかと実感している。

だってそこは、私が想像していたようなところではなかったから。

これまで生きてきた経験からでは絶対に想像できないような立派な場所。

窓越しに目の前に聳(そび)え立つ中世ヨーロッパを思わせるレンガ造りの建物を見上げる。