どうしよう


どうしよう



どうしよう…!



止まることなく走った。

涙が風に吹かれて横へ流れていく。

息が苦しい、でもそんなことどうでもいい。

いっそのこともっと苦しくなりたかった。



もっともっと、誰か私を…!



走り続けた。

嗚咽が漏れる声で、ひたすらに走り続けた。

ただ逃げてるだけなことはわかっていたけど。

「…ハァ、ハァ…っ」

全身で息をする。

じゃないと立っていらてなかった。

辿り着いた先、力ない手でドアを開けた。

「晴、おかえり!卵買えた?」

「…。」

…っ。

酸素が足りない、潰されそうになる。

「晴…?どうした?」

その瞬間全ての力が体から抜けた。

その場にすとんっと座り込み、ゼェゼェと息をした。

だらだらと流れる汗と涙が混じり、もうどちらかわからない。

「晴!?」

山田の声が近付いて来た。

私の肩に手を置いて、優しく撫でた。

その優しさが今は痛くてしょうがない。

「どうした?そんな急いで、何かあった?」

肩に置いた手を掴んだ。

揺れる振動が伝わってしまったかもしれない。

山田にまた迷惑かけちゃうかもしれない。

それどころかこんな私、軽蔑されるかもしれない。

「私が、願ったから小西先輩死んじゃったのかな…」

「…っ」

「私が…っ、あんなこと思ったから!」

声にならない声、自分で自分の感情さえもコントロールできずに崩れていく。

「こんなこと、偶然で起きるはずないよね…っ」

「晴…っ」

「恥ずかしい…、別れさせればいいって思ってた自分が恥ずかしい…!」

2人の仲をちょっと悪くしてやろうって軽い気持ちだった。

そしたらすれ違って、仲違いして、私に可能性あるかもなんてくだらないこと考えた。


そしたら伊織先輩を手に入れられるってー…


未来に願ってしまった。


私の幼稚な考えのせいで今もみんな苦しんでる。


“僕は自転車を引いていてすぐには助けられなかったんだ…”

どれだけ伊織先輩が悔いたのか。 

小西先輩だって、もっと伊織先輩と…っ

2人が離れたらいいなんて、どうしてそんなこと思っちゃったんだろう。


どこまで最低なの、なんで私は笑って未来(ここ)にいたのー…!