ガチャッと音がしたと同時、玄関まで急いだ。

ドアが開いた瞬間、山田と目を合わせる。

「おかりなさい!」

今日は私の方が先に言おうと決めてたから。

「…ただいま」

目をぱちくりさせる山田に、息継ぎなしで一気に話しかけた。

「ご飯できてるよ、今日はクリームシチュー作ってみたの!山田はクリームシチューもパン?それともご飯?あ、味は大丈夫だよ!未来(こっち)の私と一緒に作ったから!あとお風呂も湧いてるから先に入るならいつでも準備出来てるし!」

「……おぉ、さんきゅ」

「それと…っ、昨日はごめんなさい!」

先に言われる前に言いたかった、この言葉を。
勢いのまま、グッと力いっぱい頭を下げた。

「…晴は悪くねぇよ。俺が勝手に怒っただけだから…、ごめん」

この話はもうやめようと思った。

「うん…」

山田があれだけ言うことだからきっと何かある、でもそれは聞かない。

それ以上は詮索しない。

教えてくれなくても、山田が考えてることを私は信じることにしたから。

「あ、あとねぇクロワッサン買って来たんだよ!山田好きなやつ!」

「わ、マジじゃん!あとで食おっ」

「ドーナツもあるんだけど食べる?」

「食う!でも先にクリームシチューな、腹減ったわ~」