あの後、家に帰ってきたらなんだか安心しちゃってすぐに眠ってしまった。気付いたら朝だった。

今日は土曜日、仕事が休みの山田とゆっくり朝ご飯を食べた。

今日も山田が作ってくれた目玉焼きとハムとトーストと、もそもそと頬張りながら今までの経緯を聞いてもらった。

「マジで未来で別れさせようとしてたのか」

あんぐりと口を開け、あきれ顔をされた。

わかる、その気持ちはよくわかる。

なんならその顔は5年前でもしてた。

「晴は本当変わらねぇな、高校ん時のまんまじゃん。見た目も中身も」

「変わるも何もまだ現役高校生だから!現在進行形!」

ゴクゴクーっと山田がコーヒーを飲み干した。

いつの間にブラックコーヒーまで飲めるようになったんだろう、その姿には何度見ても違和感で。
だってついこないだまでカフェオレ飲んでたんだもん。

「でもそれ、ちょっと心当たりあるんだよな」

「心当たり?」

「うん、校舎裏でその話してたのは覚えてる」

空になったマグカップをテーブルに置いて、神妙な面持ちで顎の下に右手を充てて話し出した。

「急に晴がいなくなった瞬間があったんだよ」

「え、本当に!?」

「でもすぐに現れたからその時は目の錯覚だと思ってたけど、ここにその椎葉晴がいるんだからやっぱりあの時晴は時空を超えてたんだ」

すごい、これは何かに繋がりそうな証言…!

「その時、私何か言ってた!?何して来たとか、なんか!」

「いや、別に。ケロっと笑って普通に帰った」

自分の証言がとことん役に立たないな。いつでも自分の行動にゲンナリさせられている。

「まぁなんで未来(こっち)に来たのかはわからないけど、少なくとも戻ることが出来るってことだけは確かだ」

そう、今得られた最大の情報はそれ。

過去に戻れる方法はあるってこと。

「やっぱり考えられるのは2人を別れさせること、ぐらいなんだよね。そう言った瞬間未来(ここ)へ来たんだから」

「………。」

「きっと関係してるのは間違いないと思うんだ…」

私が未来へ行きたいと強く願った理由はどう考えてもこれしかない。

我ながら人としてどうかしてる考えだとは思うけど、今はこれしか思い当たることがないの。

じゃあそこに賭けてみるしかないんじゃないかな。

ぬるくなってしまったホットミルクを一口飲んだ。