和凜の立場で考えてみれば……すぐに分かる。

 恋は盲目、何て言うが……こんなの、邪魔以外の何物でもない。

 盲目過ぎるのは、流石にヤバすぎる……。

 一人そう考え、取り消ししようと口を開く。

 それと同タイミングで……和凜の声が聞こえてきた。

「き、絆那、さんっ……で、良いですか……?」

 恥じらいを隠したような声色で、名前を紡いだ和凜。

 その瞬間に、電流が走ったような感覚に陥った。

 比喩じゃない、本当だと錯覚してしまいそうなほどの。

「……ダメだ、俺の心臓がもたない。」

「えっ……わっ!」

 何をやっているんだ、俺は。

 そう問いただしてしまいたいほどの事を、今俺はしている。

 ふんわりとしたフローラルの香りが漂ってきて、独占欲に拍車がかかる。

「き、絆那さんっ……?」

「悪い、急に抱きしめてしまって。」

 口先ではそう言うも、もう離したくないと思っている自分がいる。

 優しい力で和凜を抱きしめて、自分の無能さに嫌気が差した。

 俺はこんなにも……我慢ができなかったのか。