美月ちゃんも気遣って言ってくれたんだから、せめて遅れないように……!

 やっぱり美月ちゃんが心配だけど、私は美月ちゃんを信じて教室のほうへと足を進める。

 ……そういえば、最近絆那さんの様子がおかしい気がする。

 これも私の気のせいだと信じたい……んだけど、何故か私はフラグ建築が上手いようで。

 何だか気のせいだと割り切れないような予感がして、少しだけ引っかかっていた。

 今日も……言葉の歯切れが悪かった。

『絆那さん、何だか浮かない顔してますけど……何かありましたか?』

『……いや、何でもないんだ。』

 あの間、何でもないって感じじゃなかった……。

 それに美月ちゃんだって、さっきもおかしかった。

 改めて考えれば、違和感にはすぐ気付ける。現に、こうして心当たりがありすぎるから。

「ねぇ、そこの君。」

「……え?」

 その瞬間だった。

 いきなり背後から声をかけられ、反射的に振り返ってしまう。

 それと同時に目の前には、体が大きい男子生徒が二人いた。

 ……誰、だろう。