恋人たちが楽しそうに通り過ぎてゆく。

いつかあたしにもそんな日来るのかな。

その相手って誰なんだろう?


―コンコンッ


窓の外からノックする音が聞こえた。

ぼーっと遠くを見ていた視線を変えると初ちゃんが手を振っていた。
慌てて振り返すと、にこやかに笑ってお店の中に入って来た。

「タイミングが合いましたね!」

今日は本当にタイミングが合った、同じ時間に同じ場所にいるんだから。
でもそれだけなのに初ちゃんは嬉しそうに笑っていた。

「星出さんもお買い物ですか?」

「うん、ちょっとブラブラとね」

「わたしもです!今日はクリスマスなので!」

「…うん」

その言葉の意味はよくわからなくて、クリスマスなら普通は…
1人で買い物は来ないんじゃないの?

隣に鮫上はいない。

なのにワクワクした表情で、ふふふっと笑った。

「あ…、せっかくだからどうぞ」

ずっと立ちながら話す初ちゃんのために隣のイスを引いた。
1人で来たんだから少し話でもしていくかなって思って。

「あ、あのっ、大丈夫です!」

なのにサッとイスを押し戻された。

「ごめんなさいっ、こ…っこの後紺くんと待ち合わせなので!」

少しだけ頬を染め、押し戻された冷気に触れて冷たくなった手とは正反対だった。


なんだ全然違うじゃん。


タイミング、合ってないよ。


「そっか、ごめんこっちこそ。そうだよね、クリスマスだもんね」

「いえっ、誘って頂けたのはありがとうございます!」

「え、でも鮫上は?一緒に住んでるんだから待ち合わせなくても…」

顔を見たら嬉しそうで、恥ずかしそうにしながらもその顔は幸せそうだった。

「プレゼントを買いに来たんです。交換しようって決めて、それで買ったら駅で待ち合わせようって」

恋人みたいだった。

あ、恋人なんだっけ2人は。

「そう…、いいね」

こんなとこで1人いるあたしとは違うんだった。