わたしの所属する演劇部は、女子率高めの部員約30名から成る。

多いようにも思えるけど、緩い部活なので登録していても参加していないという人も結構いる。真面目に活動しているのは半分ぐらいだろうか。


わたしが恭くんが見学したがっている旨を部長に伝えれば、案の定あっさり許可された。




「プロに演技を見てもらえるなんて、またとない機会じゃないか!」




と言うのは、この部では少数派の男子である三年生部長。脚本担当なので超他人事だ。

パニックに陥るのは舞台上で稽古を始めるところだったお姉さま方。





「ちょおーっと武藤ちゃんこっち来てくれるかな~?」




引きつった笑みの先輩たちに囲まれ、軽く恐怖を覚える。

普段は優しくて後輩を可愛がってくれる皆さんなだけに、謎の気迫があるのだ。




「武藤ちゃんどういうつもり? 私たちに何か恨みでもあるのかな?」


「素人感丸出しの演技をプロに見られるとか軽率に死ぬ……」


「てか噂には聞いてたけど本物のゲーノージンやばいよぉ……オーラ……」