それを聞いた恭くんは、「そっか……」とあからさまにがっかりした顔をした。
だけどそれは一瞬で、すぐに表情を戻す。
「いいよ、それでも見たい」
「……わかった、見学できるか部長に聞いてみる」
まあたぶん許可は下りるだろう。下りるだろうけど。
部活なんていわば素人の集団だ。
それをプロの俳優である恭くんが見学に来ようものなら……パニックになるんじゃないかな先輩たち。
後から先輩からあれやこれや言われるの面倒だな。その面倒さを我慢してお願いするのだから、何かわたしにもメリットが欲しいところ。
そう思って、ピンとひらめいた。
「見学頼んでみるけど、一つ条件があるの」
「条件?」
「うん」
わたしはうなずいて、恭くんに向かって深く頭を下げた。
「お願いします。一枚でいいので写真を撮らせてください」
スマホの恭くん専用画像ファイルに、SNSで拾ったものではない制服姿の激レア写真が一枚増えた。