神山愛子へのインタビューは続く。




『共演した方の中で、印象に残っている方なんていらっしゃいますか』




頼む! そこは恭くん! 恭くんの名前出してくれ!




『そうですねぇ……あ、今回初めて共演した、息子役の天羽恭くん』




よっしゃきた! ありがとうございます!




『あの子ちょうど私の子どもと同世代なのに信じられないぐらいしっかりしてて。本当の息子に欲しいなぁ~なんて』




いいぞ、その話もっと掘り下げろ!


……という願いは虚しく、恭くんの話題はこれで終了。もう次の質問に移ってしまった。



わたしは朝ごはんを食べたり着替えたりしながら、テレビに耳を傾け続ける。


家を出なければならない時間は迫っているけど、もう一回ぐらい恭くんが映らないかな……なんて思って、なかなか離れられない。



ちなみに、こういう時に注意してくれる家族は家にいない。


兄弟姉妹はおらず、父親は仕事の拠点が海外だから、昔からタワーマンションの一室で母と二人で暮らしている。

そして、そのお母さんも仕事に忙しい人。中学生ぐらいまでは家政婦さんが来てくれたこともあったけど、最近は家事もわたしが担当し、広い部屋の中で基本的に一人なのだ。