『女を追っかけて転校なんて、お前も思い切ったことしたよな』


「正確には、『元々前の環境から離れたいと思っていた時に、ちょうど彼女がここにいると知ったから、決心できた』ですけどね。とはいえ早坂さんにもご迷惑掛けました」


『おれは構わん。面倒だったのはお前の母さん説得するときぐらいだったしな。それに、そういう突拍子もない行動できるやつが、結局向いてるんだろうよこの世界に』


「そういうものですか」


『で、見つけたのか?』


「はい」




ずっと探していた女の子。

最後に会った時からだいぶ時が経ち、容姿も変わっているはずなのに一目見て気が付いた。




「ただ、向こうは俺のこと全然覚えてなさそうでしたけど」


『なんだよ、感動の再会とはいかなかったのか』


「まあ、当時俺の名前をちゃんと把握していたのかも怪しいんですけどね。──ああ、それか……」




少し考えていた、十分にあり得そうな可能性を口にする。




「覚えてるのに、あえて覚えていない演技をされているのかも」


『はは、さすがにそれはないだろ……って笑えないんだよな、その相手的に』




彼女がどのような人物であるのか知っているマネージャーも静かに唸った。