ただ数馬は彼氏じゃないという事実を伝えるだけのつもりが、テンパって余計な情報まで付加してしまった。

わたしの「彼氏いない歴=年齢」なんて情報、恭くんにしてみれば世界一どうでもいい情報だろう。ごめんなさい。

あと数馬がなんか微妙な表情をしているのは何でだろう。




「ねえ武藤さん、これから時間あったら校内を案内してもらえない?」


「へ!?」


「清水くんが武藤さんの彼氏なら頼むの申し訳ないなって思ったけど、違うなら」




にっこりとわたしに笑いかける恭くん。

はあ。授業が終わってやっと落ち着いてたのに、そんな笑顔を見せられるとまた心臓がギュンギュンするんですけど……。


でもそうか、それで数馬がわたしの彼氏かどうか確認したんだ! ほら、やっぱり誠実な人だよ恭くんは!


わたしはちょっと得意な気分で数馬を見た。


数馬は、恭くんとは対照的に、なぜか眉を吊り上げて険しい顔をしていた。




「学校の案内なら、武藤じゃなくてオレがする。……別に武藤にこだわる必要ないだろ? つーかわざわざ女子に頼むとか、下心があるようにしか見えねえけど」


「隣の席になって、今日一日で一番仲良くなれたのが武藤さんだったから。他意はないよ」