なぜか推しが追ってくる。




「これはっ……」


「百合……百合の花が見える……」


「美しい……」



客席から聞こえてくるそんな声。


そして恭くんは極めつけに……

見せつけるかのように、わたしの頬へキスをした。

もちろん再び悲鳴が湧き上がる。というより歓声か。



「あああだめ! 尊すぎて死ぬ!」


「皆待て目を覚ませ! 天羽恭は男だ! あれは百合じゃない」


「いや、でもあれは……百合だとか男女だとかそういうの超越した何かだろ……」


「言えてる……眼福」



何かとんでもない雰囲気になっている気がする。

でもわたしはわたしで、もう目が回って頭の中は沸騰しそうになっていた。


だって、お姫様抱っこだよ!? お姫様抱っこだよ!?

大事なことだからもう一回言う。お姫様抱っこだよ!?!?!?


見た目は美少女なのに、わたしを持ち上げる腕とか、あと胸板とかはしっかりしていて。

なんかもう、こう……


わたしは鼻のあたりを押さえてこっそり問う。



「恭くん……わたし鼻血出てない?」


「ふふ、大丈夫」