……二人が黙った。



私の告白に、何となく戸惑っているような様子だ。

このタイミングでそんなことを言いだすとは思っていなかったのだろう。




「あの、瑞紀」


「ははは、やっぱりな。見てたらわかるだろそんなもん」




恐る恐る口を開きかけた真緒に被せるようにして、数馬が大声で笑いだした。




「武藤が『ファンとしての好き』と『恋愛としての好き』をハッキリ区別できるほど器用じゃないことぐらい、こっちは知ってんだよ」


「なっ」


「芸能人じゃなくなった自分を好きになってもらえるわけがないって無意識に考えてたから、無理やり『ただのファンだから恋愛感情じゃない』とか思い込もうとしてた。……違うか?」


「せ、正解です」


「ほらな。親友舐めんなバーカ」




数馬はもう一度笑って、わたしのおでこをピンと弾いた。

……すごいな、親友。




「で、天羽にもそれ言ったのか?」


「……言った」


「あいつは何て?」


「わたしのこと、……す、好きだって。恭くん、神山ミズキが初恋の人だったらしいんだけど、……ただの武藤瑞紀のことも、ちゃんと好きだって……言ってくれた」