どれくらいそうしていたのだろう。

時間としてはあまり過ぎていなかったのかもしれない。


唐突にこれまで私を見つめているだけだった碧斗がこう言った。

「桃色、かな?」


私は驚いて、碧斗を見上げた。


急に碧斗が口を開いたからびっくりしただけじゃない。


驚いたのは、その答えだ。


桃色、それこそが私が答えてほしかった色。


私の名前が入ったその色は、回答としては一般的なのかもしれない。

それでも嬉しかった。


ピンク色と答えても良いはずなのに、敢えて、桃色と言ってくれた。


これって脈ありだと思っても良いのかな?


そんな私の気持ちを見透かしたかのように、碧斗は私を見下ろして、ふっと笑ったのだった。



         fin