帰る時間になった。

沙和ちゃんは澄晴くんの手を引いて
「用事があるから先帰る!」
と叫んで走り去っていった。

あれもこれも、全部私のせいか。

気を使わせちゃってるってことだよね。

なんだか申し訳ないなぁ。

うん!

親切な沙和ちゃんのお返しとしても!

翠くんとなんとしてでも誤解――告白――を解かなくては。

「す、翠くん、か、かかか、かえ、帰ろ」

「……そうだな」

翠くんはまだ、沙和ちゃん達が走り去った方向を眺めていた。

そんなに、好きなのかな。

やっぱり沙和ちゃんが好きなのかな。

……でも、告白はしなくちゃだから。

帰り道も半分まで来てしまった。

雲行きは怪しいし、翠くんとはあれから一言も話せていない。

どうにかしなくちゃ……!

なんでか涙が目に浮かぶ。

ぎゅっと目をつぶったら溢れて頬を伝ってしまった。

だけど翠くんは構わず前を進んでいく。

遠くに行ってしまいそうで怖かった。