「うちの彼女が、すみません」

隣で翠くんが頭を下げた。

ひどく落ち着いていて、静かで深い声で。

え……?

うちの彼女……。

「彼女は障害者なんですけど、それでもここに通いたいと思い、日々努力していました。僕はそんな彼女を強いと尊敬しています」

翠くん……?

「それから、今日のスピーチに関してもたくさん練習していました」

なんでそれを……っ。

「彼女は彼女なりに工夫して頑張っていて、それを僕は素晴らしいと思っています。今回はこんなスピーチで申し訳ございません。ありがとうございました」

翠くんが綺麗に締めくくる。

翠くんが、あの日の私の代弁をしてくれた男の子と重なった。