朝なけに

◇


「照と千里と出会ったのは、高校でなんだけど。
入学早々、アイツらと険悪になってたな」


中さんは、そうやって昔の話を私に聞かせてくれる。
さっきまで、真湖さんの事で暗かった表情も、照さんや千里さんの話になると明るくなった。


ついさっき、なんでもいいから中さんの事をもっと教えて下さい、とお願いした私に、
あの二人との思い出話を始めてくれた。


「男子校なんですよね？
確か千里さんがそう言ってました。
で、照さんが、和同連合は千里さんと二人で中学の時に作ったグループだと話してました」


「あ、けっこう知ってんのか？
俺、元々はアイツらと違う中学から大学迄の一貫校だったんだけど、成績悪くて高校への内部進学が難しくて、外部受験して。
んで、高校でアイツらと出会って」


そうなんだ。
高校は成績不振で内部進学出来なかったのだとしても、
中学は受験して、その一貫校に通っていたんだな。
中さん、けっこう勉強出来る人だったりするのだろうか。


「その高校ってのが、偏差値とかはそこまで悪くないが、問題あるような奴ばっかで」


そう話す中さんは楽しそうで、きっとその高校で照さんと千里さんに出会えてとても楽しい高校生活だったんだな、と思わされた。


「大学は行く気ないから行かなくて。
高校出たら金作って、今の会社始めて…。
そんな感じ、か」


わりと纏められた、中さんの半生。
家族の事とかも聞いてみたいけど、それはまだ聞かない方がいいのかもしれないな。
家族の事を聞いたら、中さんのお兄さんの事も出て来るだろうし。


中さんのお兄さんは、暴力団のトップだった人で。
そして、殺された。