躊躇う気持ちがありながらも、私は再び修司さんのバーへと訪れた。
何かを決意するように、お店の扉を開く。


その瞬間目に飛び込んで来たのは、修司さんがカウンター席に座っている女性とキスしている場面。
思わず、扉を慌てて閉めてしまう。


修司さんの彼女だろうか?
とりあえず、営業中みたいだけど、と、openと書かれた看板を見て思う。
出直した方がいいのだろうか?


そう思いあぐねていると、扉が開いて現れた修司さん。


「修司さん!ごめんなさい!
彼女との楽しい時間を邪魔してしまって」


「え、ああ、さっきのあれね?
こっちこそ、変な所見せてごめん。
葵衣ちゃん、中入って。
お詫びにオレンジジュースご馳走するから」


そう修司さんに言われ、そのまま中に入る。


「いや、あの。
オレンジジュースは自分で払います」


「何か俺に訊きたい事でもあった?
とりあえず、そこ座って」


修司さんはカウンター席を指す。
修司さんの彼女だと思われる女性から二席開けて、腰を下ろした。


チラリ、とその女性を見てしまう。
若い女性で、といっても、私よりかは年上だとは思う。
修司さんの彼女にしては普通なのかな?
その普通は、修司さんみたいに派手じゃないんだな、って。
黒く耳より少し下の短い髪型。
横顔しか見えないけど、可愛い人かもしれない。