「ニャニャニャ、ニャーン」
「ニャゴニャゴニャー」
「ニャオーン」

 えええっ?

 この辺りの路地という路地から猫が飛び出してくるじゃない。しかも、すべての猫が一目散にこちらへ向って走ってくる。

 ウオーレンを狙う連中は、猫魔獣でも召喚したわけ?

 通りすがりの街の人たちは、立ち止まってこちらを見ている。

 ウオーレンがわたしの腕から手をはなした。

 バカ力ったらないわね。

 彼に握られていた手首は、ヒリヒリしている。それをもう片方の手でさすりつつ、ウオーレンの様子をうかがった。すると、彼は乗馬服のズボンのポケットから袋を取り出し、その中身を石畳の上にバラまき始めた。

「ニャニャ―」
「ニャオニャオ」
「ニャオーン」

 すべての猫たちがそのバラまかれたなにかに殺到し、喉を鳴らしながら食べ始めた。