目が覚めたらまだ夜なので、数時間しか眠っていないと思う。が、翌日の夜だった、というだれもがしょっちゅう経験するあるあるをたまーにやってしまう。

 そんな日は、罪悪感とともに残念な気分に陥ってしまう。

 せっかくの貴重な休みの日を、ただただひたすら眠っていただなんて、もったいなさすぎる。

 しかも、起きてからはひたすら食べるから、なーんにも出来ずに終わってしまう。

 まぁ、それだけ一生懸命に人生を送っているということよね。

 テラスへ出ると、手すりに上半身を預けた。

 昨夜は真っ暗だったから見えなかったけど、周囲はやはり木、木、木、木、木、と森みたい。

 違和感を覚えたので、ふと下を見た。

 一応、庭みたい。花壇があって、マーガレットやローズマリーが咲いている。

「やあ、起きたか?」

 ウオーレンがいた。それはいて当然だけど、彼は庭にいてこちらへ手を振っている。

 今朝は、つなぎの作業着のようなものを着用している。もう片方の手には、シャベルが握られている。

「おはようございます」

 いまさらだけど、シャツにスカートのままで眠ってしまった。だから、どちらもよりいっそう皺だらけになっている。

「おはよう、と言いたいところだが、すでに昼をすぎているぞ」
「はい? だってほら、太陽が……」
「ああ、西に傾きかけているな」

 なんてこと。ほら、生活する場所がかわったから、方向感覚が鈍ってしまっているのよ。