その日、ウオーレンは夜遅くに戻ってきた。

 結局、国境の問題は宰相が片付けると言い張ったらしい。

 そして、その宣言通り、翌日には国境付近からオダン国軍の姿が消えた。

 それから三日後、わたしたち(・・・・・)の宮殿に宰相を招待した。

 慰労を兼ねて、ウオーレンと二人で料理を振る舞おうというわけである。

 宰相には、その席でウオーレンを毒殺するつもりだとこっそり伝えてある。

 さらには、ウオーレンの飲み物だけでなく宰相の飲み物にも毒を盛るふりをするとも伝えている。

 宰相も毒殺されるふりをしておけば、彼が黒幕であるという疑いが多少なりともなくなる。なにせ、宰相自身も殺されかけたのだから、疑いの目をそらすことが出来る。