「この薬草は、人によっては快感を得ることが出来たり幻覚をみたりする。酔ったようになったりという症状もある。それから、痛みや苦しみを和らげるのに使ったりすることもある。が、依存を生じることがある。このような薬草が、皇宮の森に自生していてね。森の奥深くに人間が立ち寄るようなことはないが、きみが来てくれたからな。間違いのないよう、念のため引っこ抜いて廃棄しようと思っていた。森に棲む動物が誤ってかじってもいけないし。まぁ飲んで死ぬことはないが、煎じて飲んでもとてもではないが飲めたものではない」
「そうでしたか。飲んだからって死なないのですね」

 残念ね。毒っていうから、淡い期待を抱いてしまった。

 期待外れだったし、そもそもそんなものをあんなに目立つところに意味ありげに置いていたウオーレンにが悪いのよ。

 だから、忌憚のない意見を言いたかった。でも、控えめに感想を述べておくにとどめた。

「閣下の愛するレディって、ほんとうに面白い人ですよね。すっかり癒されました」
「ウイルの言う通りですよ。こんなに和ませてくれるレディって初めてです」

 ウイリアムとトリスタンは、ゲラゲラ笑っている。

 褒めてくれたのね。

 わたしもうれしいわ。

「そうだろうとも」

 なぜかウオーレンは、自分が褒められたわけでもないのにエラソーにしている。