「バイト探してるなら、俺に雇われる気ねぇ?」

「はい……?」

バイトの話は私が求人誌を持っていたからはじめたもの。

それだけの理由だと思っていたが、深掘りするってことはこれが本題?


というか、俺に雇われる気って……?


「雇うとは?」

まるでその意味でも検索するような言葉を口にした私に、彼は面倒くさそうな顔をする。

……すみませんね、察しの悪い人間で。



「バイト探してんだろ。だったら俺がお前に金を払うって言ってんだよ」


言葉の意味を理解した途端に今度は『なんで?』と別の疑問が湧いてくる。

暴走族の総長がわざわざお金を払ってでも雇いたいバイトって……。

何か変なものでも運ばされるの?

「お断りします」

「いいのか?お前にとっては好条件だと思うけど」

好条件。その言葉にピクリと反応してしまう私。