「あのー、それで話って?」
人を連れてきておいて、一言も喋らない蓮見怜央の代わりに私が話を切り出す。
周りの人間がどれほど彼を恐れようが、私には関係のない話だ。
私を呼び出したのは見た目が派手で、悪い噂が絶えないただの同級生。
自分の機嫌が悪いからとバイトに当たり散らかす店長や、酒癖の悪い客の方がよっぽど厄介で関わりたくない。
「……お前、バイト探してんの?」
少し間を置いてから、蓮見怜央が口を開く。
会話は意外なところからはじまった。
「……探してるけど」
どうしてわかったの?
もしかして、エスパー?なんてありもしないことを考えていると、私の右手を指差す蓮見怜央。
その先には筒状に丸められた求人誌。
……どうやら、突然の呼び出しに動揺していた私は読みかけの求人誌を持ってきてしまったらしい。
「間違えて持ってきちゃったみたい」
あはは。と笑ってみせるも、目の前の綺麗な顔はビクともしない。
愛想笑いもなし、と。



