いつも一緒にお弁当を食べる私と新那は4限終了のチャイムが鳴ると、どちらか一方の席へと集まる。
今は窓側の席に座っている私の方。
そして、他愛もない話をしながらお弁当を食べるのだ。
けれど、今日は違う。
私たちはチャイムが鳴った後、お弁当を持って屋上へと向かった。
階段を上り終えた先にある扉には“立ち入り禁止”の文字。
ドアノブには太い鎖がかけられていて、南京錠で固くロックされている。
…………そう、普段なら。
「開いてるってことは、開けた人が中にいるんだよね」
ドアノブに手を伸ばした私の横で青ざめた顔をした新那が言う。
「ちょ、新那。顔色悪いよ、大丈夫?保健室行く?」
「大丈夫。これは緊張してるだけで、メンタル的な問題だから」
「それって大丈夫なの……?」
「大丈夫、瑠佳ちゃんの親友代表として乗り越えなきゃいけない壁だもん」
そんな壁を設置したつもりはないんだけど。
あと、私の親友は新那しかいない。
本当なら超がつく程の人見知りである彼女に無理はさせたくないが、今日は怜央から新那も一緒に連れてくるよう言われていた。



