【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



「ありがとう、新那。助かったよ」

「なんだか大変だったみたいだね。お疲れ様」

労いの言葉は尋問により疲弊した心に沁みる。

一応、自販機のある場所へと歩いている私たちだけれど……。


「本当は自販機に用なんかないよね?」


私の問いかけに彼女は「えへへ」と笑った。


いつもの新那なら会話の最中に、わざわざ割り込んでまで話しかけてくるようなことはしない。

つまり喉が渇いていたというのは建前で、私を連れ出すために声をかけてくれたのだろう。

私の親友は見た目だけではなく中身も天使なのだ。


「でも、何か買っておこうかな?手ぶらで帰ったら怪しまれそう」

「確かに。私もそうする」

自販機へと到着した私たちは、2人して大して飲みたくもないジュースを購入した。


「ねぇ、瑠佳ちゃん」

教室へと戻る途中、何やら深刻そうな顔をして私の名前を呼ぶ新那。

「ん、どしたの?」

「蓮見くんといつから付き合ってるの?」

「え?」

「さっき教室で話してたでしょ?」

「あー……あれは、ほら。姫のバイトしてますなんて言えないから、付き合ってるってことにしたの」