【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



怜央とのデート……。


『他のチームに認知されるために繁華街をぶらぶらしたり、闇狼のアジトに連れて行ってもらったりした』

なんて事実をありのまま伝えるのは良くない気がして、少しだけニュアンスを変えて言ってみる。


「皆と変わらないよ。街をぶらぶらしたり、ご飯を食べたり。あとは怜央の友達と遊んだり」


「……へー」


もっと面白い話を期待していたのか、私の回答に適当な相槌が返ってくる。

どんな話をすれば納得してくれたのだろうか。

というか、そろそろこの尋問から解放されたいんですけど。

そうだ、トイレに行くふりでもして一旦教室から出よう。

そう思って椅子を後ろに引いたとき、背後から「瑠佳ちゃんおはよう」と新那の声がした。


「お、おはよう新那!」

「今日暑いね。私、喉渇いちゃったから自販機行くんだけど瑠佳ちゃんも……って話の途中だった?」

「私も喉渇いてる!ってことで、ごめんね。飲み物買いに行ってくる」

まだ話し足りないのか、不満げな表情をする彼女たちにもう一度「ごめんね」と告げた後、私は振り返ることもせず新那と教室を出た。