【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



これも先に打ち合わせしておくべきだった。そんなことを考えていると隣で怜央が「おい」と口を開く。


「あんまジロジロ見んな」

その一言により、私に集中していた視線は一斉に散らばった。

彼らにとって怜央の言葉は絶対なのだろう。


「総長が初めて姫を連れてきたんだから、そりゃ気にもなるでしょ。まずはその子の紹介からしたら?あいつらも落ち着かない様子だし」

そう口を開いたのはソファに座っていた3人の中の一人。

彫りの深い綺麗な顔立ちにアッシュグレーの髪、耳には複数ピアスが着けられていて、足を組みながら座っている。

今、発言した内容から考えて多分、偉い立場の人なのだろう。

「……そうだな。お前らに紹介する。水瀬瑠佳、俺が惚れた女だ」

怜央がそう言うと目の前で「「お〜」」と雄たけびに近い声が上がる。

姫として紹介されるものだと思っていた私は“俺が惚れた女”という言葉に動揺を隠せなかった。

姫も、惚れた女もどちらも護り抜く存在という意味では同じなのかもしれないが、後者の方が圧倒的に心臓に悪い。