【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



「大丈夫だよ」

「なら開けるぞ」

「うん」

私が返事をした直後、重い鉄の扉はギギギィィと錆びた音を立てながらゆっくりと開かれた。


中にいた人たちは怜央の姿を確認した途端、一斉に立ち上がり「怜央さん!おはようございます」と頭を下げる。

誰も合図なんてしていないのにピッタリと揃う声、同じタイミングで上がる頭。

目の前で繰り広げられる行動に私は思わず息を呑んだ。

けれど、怜央にとっては見慣れた光景なのか特に気にする様子もなく、倉庫内へと足を踏み入れる。

私も後に続こうと一歩踏み出すと、なぜか先を歩いていた彼が振り返り入口へと戻ってきた。


「どうしたの?」


何か忘れ物でもしたのだろうか?と首を傾げながら彼の顔を見ていると、なんの前触れもなく強引に肩を抱かれた。


「………………?!」

「瑠佳は俺が選んだ姫なんだから堂々としてろ」

私にだけ聞こえるような声でそう言うと、肩を抱いたまま歩き始めた怜央。


もしかして、私が萎縮しているのに気づいてた……?

それで戻ってきてくれたのかな。

隣を歩く彼の顔をチラリと見上げてみるも正解はわからない。けれど、なんだかそんな気がした。