【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



「ねぇよ、普段通りでいい。細かいことは、また帰ったら連絡する」


「ん、了解」

明日の話がちょうど終わったタイミングで、怜央のバイクが停めてある駐車場へと到着した。


「腕、力入りそうか?」


「大丈夫。もう赤くすらないよ。落とされないようにちゃんと掴まるから安心して」

街灯の下、掴まれていた方の腕を前へと出す。

赤みはすっかりと落ち着き、他の肌の色と何ら変わりはない。

私の腕に視線を落とした怜央は特に言葉を発することなく、取り出したヘルメットを頭へと被せてきた。


そして、私が口を開くよりも先に素早くバックルを締める。

「えっ……と、ありがとう」

また自分で出来ると言いそびれてしまった。

「水は鞄の中にしまっておけよ」

「う、うん」

言われたとおり、水を鞄の中へとしまってからバイクを跨ぐ。


まだ慣れないスピードで駆け抜ける夜の街は、暗がりに灯る光のせいかキラキラと輝いて見えた──。