「小さい頃から危なっかしい奴がそばにいたせいだろうな」
隣で懐かしむように怜央が笑う。
それは私をバカにしていた時の表情とは違い、とても優しいものだった。
その脳裏には幼なじみである櫻子さんのことを思い浮かべているのだろうか。
「目を離すと迷子になるか、怪我するかの2択。そんですぐ泣くし。だから、自然とこっちが気をつけて見ておいてやんねぇとって気持ちになんだよ」
「じゃあ、必然的にそうなったんだね?」
「多分な」
怜央は総長だからという理由で櫻子さんを護っているわけではない。
そんな役職がなくたって、子供の頃からずっと櫻子さんのことを護り続けてきたんだ。
彼の口から語られた微笑ましいエピソードに普通なら心が温まるはずなのに、私の心はなぜかザワザワと落ち着かなかった。
どこか調子でも悪いのだろうか。
もしかして、さっきの食べたパフェが原因?
それはないか。違和感があるのはお腹や胃ではない。
それとも今になって、恐怖心が襲ってきたとか?
それもなんだか違う気がする。
……別に原因なんて探さなくてもいいか。



