【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



そして「俺らまじで知らなくて」と2人揃って言い訳を口にするが、怜央には通用しなかった。

「ここが人目の多い場所で助かったな。ほら、さっさと失せろよ。俺の気が変わらないうちに」

冷たく吐き捨てられた言葉。

さっきまで威勢のよかった男たちは怜央の言葉に何度も頷くと、逃げるようにしてこの場から走り去った。


“蓮見怜央”という人物が彼らにとって、恐怖の対象である。
そんなことが一目でわかる瞬間だった。



「腕、大丈夫か?一人にして悪かったな」

「ううん、平気」

「どこがだよ。赤くなってんだろ」


怜央はそう言うと、近くにあった自動販売機で水を購入して私に手渡した。

「これで冷やしとけ」

「あ、りがとう」

受け取った水はひんやりと冷たい。

「礼なんて言われる筋合いねぇよ。さっき傷ひとつ、つけねぇって言ったばっかなのに護れなかった」


傷という言葉が出て自分の腕を確認するも、そんなものは一切見当たらない。

ただ強く握られていた箇所が一時的に赤くなっているだけ。

それも時間が経てば消えてなくなる。傷と呼ぶには大げさだ。