【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。




「わかった。じゃあ、私あそこのベンチに座って待ってるね」

電話が切れてしまう前に、この場を離れることを早口で伝える。

すると、怜央は「ああ」と言ったあと親指で画面をスライドさせた。

姫といえど電話の内容を聞くわけにはいかない。

そう思って数メートル先にあったベンチに腰掛けながら怜央を待つことにした。

ここなら声は聞こえないけれど、お互いの姿を確認できる。


今のうちに《今から帰る》って志貴に連絡しておこうかな。

教科書やノートが入った鞄の中からスマホを探していると、体格のよい男2人組が私の両隣に腰を下ろした。


空席のベンチが並ぶ中、わざわざ隣に座ってきたことに違和感を覚えて席を立とうとすると、右側の男はそれを静止するかのように私の腕をガッチリと掴んだ。

その瞬間、身の毛がよだつほどの恐怖を感じた。

「なっ何するんですか。放して下さい……!」