【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



「交通費もバイクで行くならタダだけどな」

「ゔっ、確かにそうだけど……。海じゃだめ?」

私的にはいい案だと思ったんだけどな。
暴走族って海岸沿いを走ってるイメージがあるし、学校の周辺以外にも噂を広められるチャンスだ。


「別にだめだなんて言ってねーよ。俺は瑠佳と一緒ならどこでもいいし」

隣を歩く怜央は表情ひとつ変えずそう口にした。

それは姫を連れて行動できるならどこでもいい。という意味であって、私に向けられた言葉ではない。

過剰反応をしてしまう前に、自分自身に言い聞かせる。

怜央のこういう態度にも早く慣れないと。

「それじゃあ、今度は海な」

「うん」

次の仕事も決まり一安心していると、どこからかヴッーヴッーと着信を知らせる音が鳴り、2人そろって足を止めた。

隣でズボンのポケットからシルバーのスマホを取り出した怜央が「……悪い。電話」とつぶやく。