「なら次はそこな。バイト中にかかる金はこっちで出すから気にすんな」
やっぱり、そうなるよね。
認知という意味では必要な仕事なのかもしれないが、今日だけでもかなりのお金を怜央に使わせてしまっている。
気にするなと言われても、気になってしまうのが普通の人間の感覚だろう。
「お給料ももらってるのに悪いよ」
「遠慮すんなよ」
そう言われてもこれ以上、怜央に負担をかけたくない。
どこかないかな、お金がかからなくて暴走族が集まりそうな所。
ある意味課題よりも難しい問いに頭を抱えていると、ちょうど1階へと到着したエレベーターがチンとベルを鳴らした。
その瞬間、まるで閃きのスイッチでも押されたかのようにとある場所が脳裏に浮かんだ私は、すぐさまその場所を口にした。
「……それって海とかもあり?」
「いいけど、タダで行けるところじゃん」
「タダじゃないよ。交通費がかかるでしょ?」
この辺りから一番近い海は電車だとおよそ1時間はかかる。
行きたいと思っても時間と交通費を考えるとなかなか足を運べない場所だ。



