「どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか」
それは恋人として、どこまで踏み込んでいいのかという話だろう。
確かにその確認は必要なのかもしれない。
周りから特別な女、つまり姫として認識してもらうためには最低限のスキンシップが必要だ。
だけど、それは手を繋ぐこと?それともキス?も、もしかしてもっと先のことも??
その辺をはっきりしておかないと、さっきみたいに上手く対応できない可能性がある。
「必要なことならなるべく応えたい……と思ってる。キ、キスとかまでなら。ほら、ドラマなんかでも演技でするでしょ」
それ以上のことは正直、今の私には想像もつかない。
唇なら許せる。そう思えたのは今日、怜央のことを知って私が想像していた人物とは違っていたからだ。
私たちはただの雇用関係。
それなのに、彼は私の大して面白くもない身の上話に真剣に耳を傾けてくれた。
櫻子さんの身代わりである私をもっと雑に扱うこともできるのに、そうはしなかった。
今だって、私のことを考えて今後の話をしてくれている。
噂に聞いていたような悪い人間だとはとても思えない。
私の言葉に「わかった」とだけ言うと、怜央はまた黙ってハンバーグを食べ進めた。



