「高校生になってからはバイトを始めたんだけど、その後すぐお父さんが亡くなって今は弟と2人暮らしで……。って、急にこんな話されてもコメントに困るよね」
「別に。困んねーよ」
これといって優しい言葉をかけられたわけではないのに、目の前の彼があまりにも真剣な表情で私の話を聞いてくれるものだから、目にはうっすらと涙が浮かんだ。
「もしかして、怜央はうちの事情を知ってたの?」
「ある程度な。姫を選ぶ前に調べさせてもらった」
やっぱり、そうだったんだ。
バイトを探していた私の元に突如、怜央が現れるなんておかしな話だと思った。
もし、私がお金に困っていなかったら、バイトの話を持ち掛けられても断っていただろう。
そう思うと不思議な縁だ。
「まぁ、そんな理由でなるべく時給の高いバイトを探してたから助かったよ。ありがとう」
「危険は伴うけどな」
「そこは怜央が護ってくれるんでしょ?」
「ああ」
「私、精一杯頑張るから。櫻子さんのためにも。お金に釣られてバイトを引き受けた私じゃ信じられないかもしれないけど」
「そんなことねぇよ。頼りにしてる」



