それでも、周りの人たちからは突然キスをしたカップルに見えたのだろう。
「キャーッ!!」という声が上がり、それを確認した怜央は私からそっと体を離した。
「い、今のなにっ」
「瑠佳が彼女だってことをアピールしつつ、視線から逃れられる方法?」
悪びれる様子もなく答える怜央。
彼の言うとおり、もう誰も私たちの方を見てはいなかった。
厳密にいうと、まじまじと見られていたのが時々チラチラと見るに変わっただけ。
怜央のことは気になるが、いちゃつくカップルを直視するのは気まずいと判断したのだろう。
「確かに効果はあったみたいだけど、こういうことするなら事前に説明しておいてよ」
私が小声でぼやくと「こういうことって?」と説明を求められる。
「だから、その」
それがどういうことなのかと聞かれると返答に困る。
私と怜央は顔を近づけただけで、実際は何もしていないからだ。
キスなんて言葉を出すと、逆にこちらが恥ずかしい思いをする。



