だけど、ずっと見られているのはやっぱり気になる。
相手も見ていることを全く隠そうとはしないし。
慣れない視線に「うーん」っと唸った私を見て、怜央は「あっ」と声を漏らした。
「どうかした?」
「瑠佳の存在をアピールしつつ、視線から逃れられる方法が一つだけあった」
「え、そんなのがあったなら先に教えてよ」
「それはやるってことでいいんだよな?」
「うん。人に迷惑かけないよね?」
例えば怒鳴るとか、睨みつけるとか。
そういう方法を取るくらいだったら、我慢している方がずっと良い。
「……迷惑はかけねぇよ。でも、瑠佳は怒るかもな」
「えっ……?それって、どういう意……味」
私の言葉を聞くよりも先に動いた怜央。
気づいたら肩を抱かれていて、そのまま体ごと引き寄せられた。
さっきまで眩しいくらいだった照明は視界から消え、目の前には影が落ちる。
そして、おでこに銀色の毛先が触れたとき、私はぎゅっと瞼を閉じた。
キスされる。そう思って。
ところがそれ以上は何も起こらない。



