他人に興味を持たない怜央が入学した頃から時々、目で追っていた女の子。


それが水瀬瑠佳さん。

後に僕らの姫となる女の子だった。


「委員長、この問題の解き方ってわかる?今日、当たりそうだから教えて〜!」

1限目終了のチャイムが鳴った直後、隣の席の八田(やだ)さんが一つだけ空欄を残したプリントを持って僕に声をかけてきた。



「ああ、ここは上の問題の応用だから……」

「あ、蓮見怜央だ!」

僕が指差す先ではなく、廊下を歩いていた怜央に目をやる八田さん。

「あ、ごめん。よそ見しちゃって」

「ううん。……好きなの?蓮見くんのこと」

「えーないない。かっこいいなとは思うけど、暴走族の総長でしょ?関わりたくはないかな〜」

「……そうだよね」

怜央のいるチームに僕も所属していると知ったら、八田さんはどんな顔をするのだろう。