闇狼の中に私を水瀬さんと呼ぶ人はいない。
「あなた誰なの?」
今は男の正体を探っている場合ではない。
でも、万が一敵だとしたら……。
「……今のは完全に僕のミスだね。今まで正体を隠しててごめん」
男はそう言うとキャップを取って、マスクを下にずらした。
「メガネがないからわかるかな」と彼は口にしたけれど、私にはこの薄暗い場所でも一目で彼が誰だかわかった。
だって、毎日のように顔を合わせている人だったから──。
「い、委員長……」
いつも同じ教室で授業を受けている彼がどうしてここにいるの……?
「詳しい話はまた後で。先に2人を救出しよう」
委員長は驚きのあまり動けずにいた私の手を引いて走り出した。
逃げ出した先に委員長がいて私を助けてくれる。そんなの、あまりにも都合が良すぎる。
もしかして、委員長は闇狼のメンバー?
だけど、学校で怜央と話すところなんて一度も見たことがないし、会合でも顔を合わせたことがない。
そんな特例が許されるのは一人しかいない。



