「……ふっ、姫初心者って何だそれ。姫が難しいなら彼女って考えればいいんじゃねーの?」

あ……また笑った。昨日と同じバカにしたような表情だけど。

総長様のツボはよくわからない。


ていうか、交際経験が一度もない私にとっては、彼女の役も十分難しいんですけど。

でも、文句ばかりは言ってられない。

私はお金をもらってここにいるのだから。

“彼女”なら周りのカップルを参考にすれば、どうにか形にはなるはずだ。


そう思った私は、ひとまず彼の手をそっと握り返した。