背後からは男たちの雄叫びと、いくつもの打撃音が重なる。
狂猫の姫は複数の男に囲まれながら、この場を後にした。
「……チッ。あいつらバイクの音ぐらい聴き分けろよ」
香坂が聴いたのは、怜央たちのバイクの音だったんだ。
倉庫内に鳴り響く音楽、それに痛みへの恐怖から私にもバイクの音は聴こえなかった。
「本当なら今頃、怒り狂った蓮見の顔が見られたのにな。でもまぁ、どうせなら蓮見の前で君を傷つけるのも悪くない」
「まだ諦めてないの?」
「諦める?俺が?有利なのはどっちかわからない?」
香坂は地面に倒れ込んでいた男の腹を足で踏みつけながら私に問いかけてきた。
「君の目にはこの状況がどう映る?」
倒れ込んでる男たちの大半が闇狼の特攻服に身を包んでいる。
香坂に踏みつけられている男も同じだ。
「その足を退けて……!」
「その前に俺の質問に答えてよ」
香坂は男の腹を抉るようにして足をひねる。
すると、倒れ込んでいた男は苦痛に悶えた。



