「私はてっきり戦うのかと思ってた」


「は?んなわけねぇだろ。俺が姫に強さを求めたのは自己防衛のためだ。戦わせるためじゃねぇ」

「そうなんだ。ん、あれ?じゃあ、私って本当に怜央のそばにいるだけ?」

「そうだって言ってんだろ。お前はただ俺のそばにいて、護られときゃいいんだよ」

「な、何それ」

歯が浮くような台詞には続きがあり、「俺が護るってことは、傷ひとつ、つけさせねぇってことだ」と怜央は真剣な表情で口にした。

それは私を安心させるためというよりも、本当にそれが可能だから言葉にしたのだろう。


「瑠佳はさっさと俺の特別だってことを自覚しろ」

トップである総長がここまで言うなんて、姫って本当に特別なポジションなんだな。

なんて他人事のように考えていたら、怜央は自然と私の手を取って歩きはじめた。

「ちょ……手っ!!」

「これも仕事の内だ。姫なら繋ぐだろ、普通?」

「し、知らないよ!私……姫初心者だし」