「あなたが志貴くんのお姉さんだからですよ。私は志貴くんの傷つく姿が見たいんです」
彼女は残酷な言葉を口にしながら無邪気に笑う。
志貴の傷つく姿が見たい……?
「な……なにそれ。志貴があなたに何かしたの?」
「いいえ、何もされてませんよ?ただ、貧乏で親もいないくせに毎日、幸せそうにしてるところが気に入らないだけです」
その言葉に唖然とした。
強く握りしめた拳が怒りで小さく震える。
手のひらに食い込む爪の痛みさえも、今はもう感じなかった。
「あなた、どうかしてるんじゃない……?」
「そんな風に言われたら悲しいです。私は志貴くんにないものを持っている。それなのに満たされない毎日を過ごしているんですよ?そんなのおかしいじゃないですか」
……だめだ。彼女には何を言っても通じない。
「あなたが苦しむことによって、志貴くんの傷つく姿が見られる。志貴くんから笑顔を奪える」
彼女はそう言うと、隣に座っていた香坂の腕に自分の腕を絡ませた。



