【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



数十人いる男たちは煙草やスマホに夢中で、とても協調性があるとは思えない。

その群衆をかき分けると、一人ソファに腰を下ろす香坂が目に入った。

近くに志貴と新那の姿は見当たらない。

「約束通り誰にも言わず一人で来た。だから、今すぐ2人を返して」

「弟とお友達なら2階だよ」

香坂が指差した先には、手足を縛られた状態の志貴と新那がいた。



「ふ、2人は関係ないでしょ!」

香坂に歩み寄ろうとする私の手を、さっきまで一緒だった男が掴み阻止する。


「離してよ!」

「香坂さんから許可が降りたらな」

「いいよ、離してあげて。でも、2階に行くのは許さないから」

香坂は階段の下で待機していた男たちに目をやった。

すると、そこにいた複数の男たちが私を見てニヤニヤと笑みを浮かべる。


「……どうしたら、2人を返してくれるの」

「先に君に紹介しないといけない人がいるんだ」

紹介?私に?


美李亜(みりあ)

香坂がそう口にすると、プレハブのような建物の中から一人の少女が姿を現した。