7月10日。

今日は弟、志貴の誕生日。

毎年うちで開く小さなパーティーに、今年は怜央と志貴と同じクラスの女の子が参加することになった。

どんな子が来るのかな?

わざわざうちに呼ぶなんて、志貴とはどういう関係なんだろう?

私はパーティーの準備をしながら、そんなことを考えていた。


「あ、そろそろケーキ受け取りに行かなきゃ」

完成した料理にラップをかけて、毎年お世話になっているケーキ屋さんへと向かった。 

甘いものが苦手な父には別にチーズケーキを用意する。

今年もそれは変わらない。

一昨年の志貴の誕生日を思い出しながら、馴染みのお店でケーキを受け取った。

その帰り道、ポケットの中でスマホが震える。

ケーキを傾けないように慎重にスマホを手に取ると、画面には知らない番号が表示されていた。


「誰だろう?」


一度目は無視したものの、何度もかかってくるその電話に「緊急時かも……」と不安を抱いた私は受話器のマークをスライドさせる。