「違う、そうじゃない。瑠佳は何かあっても平気なふりをするところがあるだろ。だから、心配なんだ。それに、今日でわかったろ?香坂みたいな奴がいるって。このまま姫を続けてたら、また同じような目にあうかもしれない」
怜央の言うとおり、私は今日初めて姫という仕事がどういう危険を伴うものなのか知った。
そして、自分には覚悟が足りていなかったこともわかった。
普通に生きていたら、攫われることも、ナイフで脅されることもない。
香坂は必ずまた私に会いに来るだろう。
それでも私は……。
「辞めない。私は姫を続ける。だって、私が姫を辞めたら櫻子さんがあんな目にあうかも知れないんだよ?そんなの絶対にだめ」
今、私が姫を辞めて櫻子さんにもしものことがあったら……この先ずっと後悔することになる。
それと私がこの仕事を続けるのは、もうお金だけが理由じゃない。
怜央が大切にしている彼女を私も護りたい。
怜央に傷ついてほしくない。
櫻子さんの代わりでもいいから、そばにいたい。
いつの間にそんな風に思っていたのだろう。
初めての感情だからすぐには気づいてあげられなかったけど……私は怜央のことが好きなんだ──。



